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濵田崇裕さんのあれこれとか。X→@hamataka1219

『ザ・ビューティフル・ゲーム』@梅田芸術劇場 雑感

勝手知ったる梅田芸術劇場での久しぶりの観劇。

自担がJr.時代だった頃から足繁く通ったこの場所に、まさか自担と同じグループに所属するメンバーの主演舞台を観に来ることになるだなんて夢にも思ってなかったなあ。

CDデビューから年月を重ねて心境の変化があったからこそ私は今この道を歩いているんだなぁ…なんてちょっぴりセンチメンタルな気分になりながら茶屋町へと歩いていきました。

 

『ザ・ビューティフル・ゲーム』はイギリス領北アイルランドの独立を目指すIRAが勢力を増すベルファストが舞台。

極東の島国である日本で生活しているとヨーロッパでの出来事はあまりにも遠くて、イギリスやフランス、ドイツやベルギーなどという国に憧れの感情以外は抱かないんだけど。

この物語の歴史的背景を少しでも知っておいたほうが楽しめるよね、折角お高いチケット代を払うんだしね、と観劇前の予習をしてみると。

ナチス・ドイツに関する知識は少しはあったものの、イギリス…というよりイングランドが併合したアイルランドに対して行った行為やベルギーが植民地としていたコンゴに対して行った弾圧のすざまじさを知ってゾッとすることになります。

IRA暫定派(アイルランド共和軍暫定派)の存在は私の年齢が年齢なので1990年代のイングランドでの自爆テロの記憶がうっすら残っていたものの、Wikipediaを読む程度でもイングランドアイルランドの宗教的対立に端を発する問題の根深さに黙り込むしかなくて。

劇場でミュージカルを観る時間そのもの以外でも、このようにあれこれ調べることによって知的好奇心を満たすことができる“観劇”という体験はやはり素晴らしいですよね。

コロナ禍によりエンタメが徹底的に攻撃された数年間があり、わざわざ劇場やコンサートホールへ足を運ぶよりコスパもタイパもいい動画配信サービスなどを自宅で楽しむという社会情勢の変化もありますが、演劇を摂取することでしか味わえない経験が絶対にあるので演劇という文化が廃れてほしくないなと私は思います。

 

今回の小瀧望主演版『ザ・ビューティフル・ゲーム』キャスト、私程度の「ご贔屓の出演者がいる場合だけ劇場に足を運ぶ」というお茶の間ファンでも知っているのは主演の小瀧望くんと益岡徹さん、あとは木下晴香さんと東啓介さんくらいで、言葉はとても悪いんですが「客寄せパンダのミュージカル未経験アイドルが主演、その周りを固めるのは動員力があまりなさそうな無名キャストばかりだけどそれで大丈夫か?成立するのか?」という声があったのが事実です。

ただ観劇を終えた私は、キャストの皆さんの歌やダンスや演技に魅了され頭の中を劇中歌が流れています。

北アイルランド問題なんてほんのちょっとしか知らなかったけれど、ミュージカルの幕が開くとどんどん物語に引き込まれ「えっこの先どうなるの?」と食い入るように観て、物語の最後まで一瞬のように感じました。

出演者さんたちの演技とか歌のレベルが高いか低いか、専門的なことは素人の私にはわかりません。

でも私にとっては心に残るいいミュージカルだった。

きっとそれだけで充分だし、それが答えなのではないでしょうか。

 

私は主演の小瀧望くん目当てで梅芸に足を運んだ、所謂「作品ではなく出演者につくファン」です。

その私に、小瀧くんの演技や歌が上手かったかと聞かれたなら。

周りのキャストさんたちは、事前にミュージカルオタクのお友達が「今の日本の若手ミュージカル俳優で、スケジュールが空いている中から歌のスキルが高い人を順番に取っていったって感じのキャストだわ」と言ってたのも頷ける歌のレベルの高さで、実績があるその人たちと比較すると…そりゃ…と返事するしかないかなと。

だけど彼は本格的なミュージカルには初挑戦、それにも関わらずあれだけ身体を使ったミュージカルの発声ができて、日生劇場梅田芸術劇場といった日本でもトップレベルに広い劇場の奥まで感情を乗せた台詞を届けて、何より彼の生まれもった華やかさで彼の登場シーンでは彼に目を奪われる。

間違いなく小瀧望が主役の舞台!

ジャニーズWESTの末っ子、本当に恐ろしい子です。

「小瀧一人で日生も梅芸も埋めるなんてどうせ無理」「所詮はジャニーズのアイドル主演の舞台だし」なんて陰口を叩かれ、なのにジャニーズWESTの人気部分を担うエースとして失敗は許されないというプレッシャーに打ち勝って、誰一人コロナに感染することもなく全公演を上演して無事に千穐楽まで走り抜けた。

座長としての今回の経験が加わることで、ますます小瀧のという人は役者として大きくなるよね。

小瀧望が背負うものそして否応なく背負わされるものはとんでもなく重くて、この先の彼の芸能人生はきっと大変なものになってしまうのだろうけど、彼は独りぼっちじゃないのが救いです。

あの広い梅田芸術劇場小瀧望がジョンとして命を燃やす姿を見て「この人は大丈夫だろうか…心身ともに折れちゃわないだろうか…」と心配したけれど、立派に38公演をやり遂げた。

それを可能としたのは彼には“ジャニーズWEST”という居場所があるからで、ジャニーズWESTの仲間という存在が彼の重圧を軽減してくれたからでしょう。

ジャニーズWESTが彼を笑顔でいさせてくれると私は信じています。